平成19年度研究実施計画に従い、極小論関連の図書の収集と内容の検討を行った上で、極小論で扱われている諸相を音韻部門に導入することを試みた。具体的には、次の課題の遂行にあたった。(1)「音韻範疇(弁別素性や音節構成素等)の見直し」と(2)「裸句構造を用いた音韻構造の考案」を行った。 (1)に関しては、従来用いられてきた音韻範疇の種類を再検討し、最小構成性原理に基づいた音韻範疇の考案を試みた。(2)については、(1)の範疇を用いた上で、エレメント理論の枠組みで分節内素性階層構造の再考を行った。 以上の研究を通して得られた様々な成果は、平成19年5月に英国マンチェスター音韻論学会(mfm)、同年7月に仏国で開かれた現代英語学国際学会(ICLCE)、そして、同年8月に日本音韻論学会、また、同年10月にはスウェーデンで開催されたバンツー諸語国際学会、さらに、平成20年1月には米国ニューヨークで開かれたCUNY音韻論フォーラム等において報告された。
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