ものづくりを支える先進的な中小企業の多くは、海外取引を積極的に進め、業績を伸ばしているが、申請者が平成19年度と20年度に東京都大田区の中小製造企業を対象に行ったアンケート調査では、海外展開をしている企業は20%以下に留まり、135社(74%)の企業が「実施していない」と回答した。調査した企業の40%近くが、最もかかわりのある国としてアジアの国をあげ、調査した企業の50%近くが最も必要な外国語は英語と答えている。しかし、英語のホームページを開設している企業は調査した約400社中16%にとどまっている。聞き取りからは海外企業からのアプローチに対し、中小企業が後ろ向きである状況も浮かび上がっており、英語でのコミュニケーションへの不安が海外との交渉への糸口を失わせている状況を示唆している。平成21年度の分析結果では、調査した企業のうち、特許取得の経験や海外展開の有無などにより、英語コミュニケーションニーズが異なっていることが明らかとなった。特許出願のある企業では、その56%以上が英語が「業務で最も必要な外国語」であると回答しているが、出願経験のない企業の59%以上は、外国語は必要ないと回答した。また、最も必要な英語の技能については、海外展開のある企業の約54%がspeakingとし、次いで23%がreadingと回答した。海外展開のない企業では、readingと回答したものが約54%を占め、speakingとしたものは約23%と逆の結果となった。平成21年度に、埼玉県内の中小製造業に対してもホームページの調査を行ったところ、大田区と同様に英語化は進んでおらず、海外取引に消極的であることも聞き取りより分かった。ホームページの英語部分の記述について一部で分析を行ったところ、製品名や製品の説明や記述の一部が英語である場合が多いことが分かった。
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