研究概要 |
本研究の目的は、「反復」の概念を中心において、中英語韻文ロマンス作品を対象にその特徴的な表現を、(1)語彙、(2)統語論、(3)ディスコースなどの面について調査し、個別の作品、ジャンルの特性、通時・共時などの観点から、記述と分析を行うことである。 本年度は、反復される様々な要素の中でも、食物および祝宴に関する記述について、その反復頻度、内容、および物語展開上の機能などに焦点を当て、作品間でそのような要素に特徴的な差違が見られるかどうかを調べた。従来の研究では、ある種の頻繁に反復される表現が「埋め草」として等閑視されることが多かったが、本研究ではそれらをより客観的に記述し、それらが単なる装飾的なものでなく、作品の中で特徴的な機能を果たしていることを論じた。 調査した作品は、King Horn、Havelok the Dane、King Edward and the Shepherd, Sir Amadace、Sir Gowther、Sir Orfeo、The Squyr of Lowe Degreの7作品である。2007年5月24日にノルウェー・ベルゲンで開催のNAES第10回大会における口頭発表で調査内容を予備報告し、2008年3月出版のSetsunan Journal of English Education,No.2に調査結果を発表した。Havelok the Daneにおいては、食物と祝宴の記述の反復がプロット展開上とくに重要な機能を果たしていることが判明した。
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