本研究では「日本語を第二言語とする者のインタラクションは、日常の具体的な実践の文脈に埋め込まれている。そして、そうした文脈には発話や発話者だけでなく、聞き手、非言語、人工物といった様々なリソースが存在し、それらが人々のインタラクションにおける一つ一つの発話順番の積み重なりに深く関わっている」という視点から、多くの自然会話の事例を分析していくことを通して、日本語の学習と教授を再考し議論していった。研究の目的としては大きく分けて2点あり、(a)日本語を第二言語とする者のワークプレースおける自然会話を、微視的かつボトムアップに記録し記述し、(b)こうした相互行為実践の具体的場面の事例的研究を蓄積し、最終的に日本語教育における学習や教授に関する提言を行う、というものであった。 研究の具体的成果であるが、まず、大学の実験室やアルバイト先の飲食店における第二言語話者の自然会話データを分析し、彼らがいかに会話への参加の微妙な調整を通して「参加」を組織化しているかを明らかにした。さらに、このように第二言語話者の会話を見ていくことが、彼らの相互行為の「能力」の再概念化にどのようにつながっていくかを議論した(柳町2007、2009、岡田・柳町2008)。
|