幕末・明治期に発生したYokohama Dialectは日本語をべ一ス(主体)としたピジンとして唯一知られている。このピジン語は簡略資本語が国際コミュニケーションのツールとして使われた実例であり、今後の日本と外国人とのあいだの国際コミュニケーションのあり方には大いに参考となりうるものである。 20年度では当時の英語文献で見られるYokohama Dialectと判定される語彙・表現のデータベースの一部を作成した。具体的には、唯一まとまった資料であるExercises in the Yokohama Dialectにおいて英語と対訳されているYokohama Dialectの語彙をデータベース化した。つづいて、幕末・明治初中期の日本滞在記Japan in English: KeyNineteenth-Century Sourceson Japanの21冊のうち、残り15冊を精読し、そこに含まれているYokohama Dialectと認定される語彙もデータベースに登録した。データベースの形式は、ヨコハマ語彙を英語との対訳形式(和英、英和)を設けたうえ、語彙よりまとまった表現語句を、別の形式でまとめた。これで、ヨコハマピジン語彙の大半である英語部分についてデータベースが完成し、ヨコハマピジンおよび簡略日本語の表現分析に入る準備が完成した。また、日本語文献については、すで語彙・表現の調査済で、データベースに入力さえすれば、データベース全体が完成となる。
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