研究課題/領域番号 |
19520445
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
近藤 安月子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90205550)
|
研究分担者 |
池上 嘉彦 昭和女子大学, 文学研究科, 教授 (90012327)
姫野 伴子 明治大学, 国際日本学部, 教授 (00228751)
足立 さゆり 白百合女子大学, 文学部, 教授 (32627201)
|
キーワード | 日本語教育 / 対照言語研究 / 事態把握 / 教科書分析 |
研究概要 |
本研究は、中国語を母語とする日本語学習者の産出する日本語の分析を通して<主観的な事態把握>の概念の日本語教育への示唆を明らかにすることを目的とする。科研最終年度の本年度は、以下のように研究を進めた。 (1)分析枠組みの構築(近藤、池上、足立、姫野): 昨年度の継続で、予備調査結果を踏まえ、「自然な日本語」、「日本語らしさ」を司るとされる<主観的な事態把握>を指標する表現形式について学習者対象調査のデータの分析枠組みを構築した。 (2)既存の日本語教科書分析の継続(近藤、姫野、足立): 既存の初級・中級日本語教科書の教授項目のうち、<事態把握>の観点からの記述が必要な言語形式を予測した。 (3)本調査の分析(近藤、姫野、足立): 1)H20年度実施の本調査の結果をデータベース化した。 2)H19年実施の予備調査の結果と1)を統合した結果を以下のように分析した。 (1)調査結果の量的分析: (1)の分析枠組みで、本調査の適切性判断課題の結果を量的に分析し、予備調査結果に対照させ、日本語と中国語の<事態把握>の傾向の分析を進めた。 (2)調査結果の質的分析: (1)の分析枠組みで、予備調査と本調査の自由記述課題および翻訳課題の結果を質的に分析し、日本語と中国語の<事態把握>の傾向が観察される言語形式を絞りこみ、求められる記述について考察した。 (4)日本語教科書への応用(近藤、姫野、足立): (2)で抽出した既存の日本語教材の教授項目を(3)の結果に照らして、<事態把握>の母語による傾向差に留意した記述が必須であるものを8項目特定した。 (5)学会発表:(近藤、池上、姫野、足立、王安(島根大学、研究協力者)): 日本認知言語学会第10回大会及び北京大学での国際シンポジウムでワークショップを行い、(3)の分析結果と(4)の考察結果を発表し、<主観的な事態把握>を反映した記述の必要性を基にした日本語教育教科書改善の方向性を提案した。
|