研究課題/領域番号 |
19520451
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
杉村 泰 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 准教授 (60324373)
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研究分担者 |
張 麟声 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (80331122)
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キーワード | 日本語学 / 中間言語 / 日本語教育 / 中国語話者 / 対照研究 / コーパス / 誤用分析 / 会話データ |
研究概要 |
本研究は、中国語話者が日本語を習得する際に産出する中間言語を分析することにより日本語教育への応用をはかるとともに、学習者中間言語コーパスを作成することを目的とする。本年度は次の2点について実施し、学習者中間言語コーパスの構築と中間言語分析の基盤を作った。 1.日本語母語話者および学習者の「複合動詞」と「漢語」理解の調査 (1)穴埋めテストにより、母語話者および学習者の複合動詞の文法性判断を調査した。 (2)『日本語能力試験出題基準』(凡人社、1994))に収録されている4級から1級までの漢語語彙の品詞性について日中比較を行った。 (3)WWW検索、新聞コーパスを利用して母語データの収集を行った。 2.学習者中間言語コーパスの作成 (1)魯東大学の協力により、1年生から3年生までの話し言葉データを収集した。 (2)華東政法大学の協力により、2年生の作文データを収集した。 (3)上記2つのデータを書き起こして、電子データを作成した。 1の「複合動詞」については、「〜し戻す」、「〜し戻る」、「〜し疲れる」について調査して、日本語母語話者の文法性判断と学習者の文法性判断の違いを分析している。たとえば、学習者は「*飛び戻す」のような誤った日本語を正しいと認識する傾向がある。これについて、中国語の影響があることが観察される。一方、「漢語」については日中語の品詞性の違いによる負の転移のしかたの違いが観察された。これらの特徴について、次年度以降さらに詳しく分析していく。 2の学習者中間言語コーパスの作成は、中国の魯東大学と華東政法大学の協力により、順調に進んでいる。これについても次年度以降継続してデータを収集していくつもりである。
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