1)本年度は、本研究課題で開発した「日本語口頭能力試験」の評価システムを利用して小規模ではあるが実用水準に近い環境下で、評価システムに関する実験を行った。 2)評価システムの実験にあたり、昨年度まで実施していた印刷冊子による評価票を用いる群と、評価をPC上に表示される評価票の直接入力する群を設定し、比較した。調査協力者は日本語教育の関する一定の条件を満たす方から募集し、37名の協力を得た(冊子版13名、PC版24名)。 3)発話標本として、日本語口頭能力の高い者2名、あまり高くはない者2名分に対して得られた評価は印刷冊子版とPC版とで大きく異なることはなく、また、大部分の評価者は正確な評価を行っていることなどがわかった。 3)実験参加者に対するアンケート調査の結果、PC版の操作性について聞いた質問では22名中12名が「とても操作しやすい」、8名が「操作しやすい」と答えており、概ね高い評価が得られた。また今回の評価方式で口頭能力が適切に評価できるかを尋ねた質問では、PC版では「できる」「ある程度できる」と答えた人が22名中19名おり、適切な評価ができると感じている人が多いことがわかった。 4)本年度が最終年度であるが、今後大規模な評価システム開発の足がかりが得られたと考えられる。
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