研究概要 |
2007年9月より韓国の大学校で日本語を教えている教師の協力が得られたため,正規授業の中で教科書『1日10分の発音練習』(くろしお出版)を用いた発音指導を行った際,考えたことをダイアリに記録してもらい,週ごとに提出してもらった。また,シラバスおよびカリキュラムの策定において本研究者が助言者となり,初級(1年生),中級(2年生),上級(4年生)それぞれのレディネスに合わせた形で,指導項目をどのように組み合わせるのが効果的であるかを,メールを通じて議論した。その結果を踏まえ,初級では「ヤマ(文イントネーション)とリズム」,中級では「ヤマとアクセントと句末イントネーション」,上級では「ヤマと規則的アクセント」を中心に課を選定し,授業を行った。上級の「規則的アクセント」とは,数量詞や接辞,複合名詞のような,2形態素が結合して1語になる際のアクセント核の位置が規則的に予測できるもののことである。学習者の発音に関しては,コース前後に採取したものを,現在分析中である。 また,教師の意図が学習者にどのように伝わっているかを分析するため,学生にも授業における内省をメールで報告してもらった。また,コース指導によりどのように意識が変容するかを調査するため,属性調査を行った。 以上のデータ,特に本研究者と授業担当者の間でやり取りされたメール内容を分析し,教師が教室で発音指導を行う際に必要とされることを踏まえた教師用指導書のひながたを現在執筆中である。平成20年度はその指導書を授業担当者に試用してもらい,フィードバックを受ける予定である。
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