本研究の初年度にあたる2008年度は、まず、国内における「地域の日本語教育」の現状の概観と地域日本語教育の理論的背景の研究を、先行研究をもとに進めた。あまり多くの時間を理論研究に割くことはできなかったが、国内の多言語・多文化化にともなう言語教育パラダイムのシフトに関する知見を、ある程度文献の形でまとめることが出来た。 その理念がどのように具現化されていくかという点で、2008年度は特定のボランティア養成講座のデータ収集・記述を進めることを重視し、地域日本語ボランティア養成講座のあり方の考察を、養成講座の観察・記述を中心に進めた。対象の養成講座では本年度の講座開始にあたって、今年度は講座運営にいくつかのかなり大きな変更を加えた上で講座を実施したが、1年(2学期)にわたり記録を積み重ね、資料集・兼・(今後の実践のための)ガイドブックの形に編集して、講師、講座担当者、受講生の3者の間で情報の共有をはかることを心がけた。今後、情報の共有化の影響に関する研究を進めたい。 そのほかに、以下の4種類のデータを収集し、分析を進めた。 1)過去の養成講座カリキュラム(過去の講座に関する資料集との対照の中で分析 2)養成講座の主担当者、および、主な養成講座講師との検討会 3)養成講座修了生・現ボテンティアヘのインタビュー2回 4)外国人住民へのインタビュー(講座中において2回実施) 5)養成講座全講義の感想メモノもとめと分析 なお、交付申請時に記載した研究実施計画のうち、養成講座と日本語教室の教室分析、および、受講生インタビューに関しては実施していない。
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