本研究は、茨城県大洗町の定住インドネシア人コミュニティを主に異文化接触の観点から捉え、コミュニティおよびその成員に関連する様々な問題点について、日本語習得に関わるものを中心に考察を試みるものである。 研究最終年度にあたる今年度も従来通り大洗町を月に1回程度のペースで訪問し、同町のインドネシア人社会の要となっているインドネシア人教会の活動において参与観察を行った。そのほか、インドネシア人就労者の通院の際の同行、各家庭の訪問などを通して日常生活のさまざまな場面における言語使用状況についてのデータを収集した。また、職場をはじめとする異文化接触場面での参与観察も行った。 次に、他のインドネシア人社会との比較を行うため、千葉県我孫子市のインドネシア人社会を訪問し、言語使用の実態調査やコミュニティの機能についての調査を行った。加えて、国内のみならず海外の定住インドネシア人社会における言語使用との比較を行うため、韓国におけるインドネシア人社会の調査も平成20年度、21年度に引き続いて行った。韓国在住のインドネシア人については韓国語の習得が進んだ事例に焦点を当て、習得の促進要因を探究することを主なテーマとした。 最後に、大学の休暇期間を利用してインドネシアを訪問し、日本での就労経験者に対する聞き取りを行った。そこでは主にライフヒストリーの聞き取りを進めながら、就労経験者の日本における異文化接触、日本語習得、日本滞在の意義について考察した。 研究成果の主な発表機会については、後記のように7月末のICJLE国際研究大会(台湾)、12月末の地域文化研究学会研究会で口頭発表を行った。また、研究成果の一部を研究論文として発表した。
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