本研究では、外国人日本語学習者の敬語能力を、記述式のテスト形式と、「反応時間パラダイム(reaction time paradigm)」による敬語聴解実験の両者から結果を比較することによって、日本語学習者の敬語習得を詳細に解明することを目的としている。平成19年度は、以下のように、実験および調査の準備を行った。 1.実験および調査のデザインと分析方法を検討した。実験は、聴覚提示の方法を用いるものとし、これに関連する先行研究について資料を収集した。また、日本語学習者に対する聴覚提示実験に関して、研究分担者の玉岡と研究代表者の宮岡が、学会において共同で口頭発表を行った。 2.聴覚提示の実験に備えて、使用機器を準備した。研究分担者の玉岡が、聴覚提示実験に関する世界の研究動向について情報を収集し、本科研研究に最適の実験機器を選定した。その上で、機器を購入し、実際にこの機器を用いて実験を行っている海外の研究者から、使用方法についてアドバイスを得た。 3.記述式テストの準備を行った。平成20年度前半に、中国において敬語習得度テストと日本語能力テストを同時に実施する予定である。ミーティングの結果、敬語習得度テストは、尊敬語・謙譲語・丁寧語の3つのカテゴリーに分けて分析ができるように、使用語彙の難易度や敬語の種類を統制することとした。また、日本語能力テストは、語彙・文法・読解の3分野について行うこととした。敬語習得度テストと日本語能力テストは、それぞれについての分析はもちろんのこと、互いの因果関係についても分析ができるように、さまざまな観点からの刺激統制を行っている。敬語習得度テストと日本語能カテストは、代表者の宮岡が作成中である。
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