研究概要 |
本研究の目的は、小学校英語活動における絵本を用いた読み聞かせを質的・量的に分析することで、各種の読み聞かせの相互交渉スキルを抽出し、より有効な読み聞かせへの手がかりを得ることである。ALTおよび日本人教師の読み聞かせ場面をビデオ収録し、プロトコル化し、教師の言語調整および相互交渉スキルの分析を行い、発話数、発問や応答行動のタイプなどALTおよび日本人教師の特徴を探った。ALTは発言数が多く、子供の英語発話も多かった。また、Completion promptやAnswer ConfimationなどALTに特徴的な発問・応答タイプがあることも示唆された。この他、ALT, JTEに共通する特徴として、誤りの訂正行動が間接的であるという傾向も見受けられた(第8回小学校英語教育学会福島大会発表研究2008年7月20日)。 次に、日本人教師3名の事例研究から、絵本の読み聞かせにおける発話カテゴリーの頻度分析を行い、各種の相互交渉スキルの使用様態を明らかにした(北海道教育大学紀要2009年60号1, 掲載予定論文)。その結果、教師たちは、3種類の相互交渉スキル(アウトプット誘引系、インプット系、発話意欲促進系)を用いていることが明らかになった。 その他、英語発話を引き出す教師の談話手法として、子供の発話を賞賛し認めることがきわめて重要であること、さらに日本語より英語で問いかけることが有効であることを示した。最後に、教師は同じ絵本を続けて複数回読み聞かせているが、初回読みよりも2回目以降の方が発話量が増加し、教師は子供の力の伸びを見極めながら子供の発話を引き出す工夫をしていることも明らかになった。
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