本研究の目的は、言語意識教育の日本の言語教育への応用を全体のテーマとし、特にその中で日本の早期英語教良の参考にもなると思われるイギリスの初等学校での言語意識教育の研究・実践状況を調査して、今後の日本の小学校における言語教育(英語・国語)に対する示唆をまとめることである。 平成19年度は、まず、イギリスで実施されている初等学校での言語意識教育"Discovering Language"Projectの実態を文献研究と授業観察、関係者とのインタビューの両面から調査し、分析することを目標とした。 当初の計画に沿って8月までは情報収集および海外との連絡を行い、9月中旬に渡英し、"Discovering Language"Projectのディレクターでもあり、ケンブリッジ州州議会議員でもあるPeter Downes氏の同行を得て、9月25日にケンブリッジ州のBurrowmoor Primary SchoolとCavalry Primary SchoolのYear5、Year6の児童を対象にした日本語の授業を視察し、Burrowmoorではビデオ撮影を行った。この2つの授業観察は、前者が語学(ロマンス語)の教員による授業、後者が歴史を専門とする担任による授業で、文献のみで理解していた多言語モデルの言語意識教育を実際に見ることができ、大変有意義であった。また、このプロジェクトで使用されている日本語の教材を開発した国際交流基金ロンドン事務所とJapan21を訪問して関係者にインタビューし、さらにCiLT(the National Centre for Languages)やPET Languagesを訪問し、初等学校での外国語教育、言語意識教育についての文献や教材を入手した。 なお、この成果については、20年度の異文化間教育学会、大学英語教育学会の全国大会で発表する予定である。
|