研究概要 |
「効果をあげていない」と批判されることの多い日本の英語教育において,その原因の一つに小中高の教育内容の一貫性の欠如が指摘されている。本研究は,言語力の基盤である語彙に関して,効率的で連続性のある英語教育に資する「小中高一貫型英語語彙シラバス」をデザインし,併せて語彙指導のための教材開発を行うことを目的としている。 平成19年度には,上記目的を達成するために次のことを行い,研究成果を公表した。 1)高校生の英語作文を分析し,高校生学習者の英語語彙使用の実態を観察した。2)2006年度に使用された高校英語検定教科書95冊分を入力・分析し,語彙の出現状況を調査した。さらに高校教科書出現語彙が小・中英語教科書でどのような出現状況にあるかを調査した。3)小中高英語教科書の出現語彙を分析し,小中高の教科書にはどのような語彙が多く出現するか,どの程度の重複があるか,大学入学までに学習できる語彙の種類はどの程度か,使用する教科書によって学習語彙にどの程度の差異が生じるかなどについて定量的に観察した。4)独自に選定した「小学生のための生活基礎語彙500」を指導するためのマルチカルタ教材を開発し,実際に使用し,使用効果を調査し,今後の改良点を明らかにした。5)小学校英語と連携させる形で,「中高生のための生活基礎語彙」を選定し,実際に高校で使用し,使用効果を確認し,さらに今後の改善点を調査した。6)小学生のための語彙指導の方法のひとつとして「読み聞かせ」を行い,その指導効果を調査した。
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