日本の英語教育は「効果をあげていない」との批判を受けてきた。その原因の一つとして、小中高における教育内容の一貫性の欠如が指摘されている。本研究では、連続性のある英語教育に資するため、言語力の基盤である語彙に関して、「小中高一貫型英語語彙シラバス」をデザインし、実際にそれを指導するための教材開発を行うことを目的として行われた。 前年度までに日本の中・高の検定教科書コーパスの構築を終えた。今年度は平成20年4月に文部科学省により示された小学校「英語ノート」のコーパス、さらに韓国、台湾の中・高検定教科書コーパスを構築した。独自に作成した種々のコーパスを比較、検証し、日本の学校英語教育で扱われる語彙について、定量的、定性的に調査し実態を明らかにした。さらに本年度は課題最終年度であることから、基礎的研究の成果に基づいて語彙指導のための教材開発およびその指導実践を行った。とりわけ中学校以降の教科書では不足することが判明している日常生活語彙を碍導するための語彙教材の開発と実践を積極的に行った。開発した教材は科学的手法で選定された生活語彙を、指導理論に沿った形で学習できるものでその有効性が認められ、開隆堂出版社より市販され、全国の小学校で活用されている。また、作成した英語語彙学習教材を発展させて、日本語、中国語、韓国語が学べる多言語学習教材を開発した。さらに携帯型ゲーム機であるPSPやDS等のメディアで学べる語彙学習教材も開発した。
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