研究概要 |
先行研究であるImai&Gentner,(1997,2002)の用いた『形と材質』の実験を英語能力が異なる日本人被験者に実施し、英語を習得することによって生じる思考過程の変化を調査することが当研究の目的である。英語母語者と日本語母語者では、物を識別する際に形と材質に分かれ異なった識別方法をすることが報告されており、当研究では第二言語習得が及ぼす影響を調べるため、英語力の異なる日本人被験者にこの実験を行い、英語を習得することが思考過程に何らかの影響を及ぼすかを調べる。 本年度は、効率よく被験者を獲得できるように心理実験の改良を中心に行った。これまでは実験道具を実際に提示する形出実験を行ってきたが、実験環境がコントロールできなきことや、一回に一人の被験者しか実験できなかった。ゆえに実験道具をデジタル化しコンピューター上で提示できるよう改良し、デジタル化したことにより実験の性質が失われていないかを統計分析して確認した。 また、オリジナルの実験道具では多岐にわたる様々な素材を使用していたが、素材を絞り込む形で新しい実験バージョンも作成し試験的な調査を行った。実験は日本人を中心に行われたが、並行してアメリカ人、イギリス人、フランス人、中国人にも実施しそれぞれの話者がこの実験にどのように反応するかデータ収集を行った。 結果の一部はフランスで開催されたEuropean Second Language Association学会と、その後に開催されたワークショップにおいて、研究途中経過として発表し、同分野の研究者の意見を仰いだ。
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