研究概要 |
本研究の最終年度となる平成21年度は,必要性意識についてのアンケート調査を両国で実施し,それをもとに本研究の成果を学会等で発表することを主たる活動目標とした。 本年度の成果は,以下のようにまとめることができる。 日本とタイの英語教育は、双方EFL国として多くの共通点を有するが、小学校英語については制度面や政策面で大きな違いがある。本研究は、両国の英語学習者を対象にしたアンケート調査により、英語学習についての必要性意識が双方の教育政策とどのように関係しているかを検証しようとするものである。調査結果の分析から、中等学校の英語学習に対する小学校英語の役立ち度、就職や進学における英語の重要性、保護者が考える英語の重要性、母語の相対的重要度や力量、英語学習に対する態度について、日本とタイの回答者間で有意な差が認められた。本調査の範囲では、小学校英語への必要性意識はタイの方が高い傾向にあることがわかった。2国間の違いとして無条件の一般化はできないが、英語による主要教科の授業(English Programmes)、小学校における英語専科の全面導入、教員養成期間の延長(5年制)など、タイ文部省の積極的な制度改革施策と社会的な英語への必要性意識とは無関係ではないと言える。日本への示唆として、小学校への英語導入については、タイの先行実施を十分参考にして、あらゆる角度からの時間をかけた検討が求められる。とりわけ、制度改革については、英語導入と初等教育の理念とはある時点から一致しない面も含んでいるので,慎重な対応が求められる。 このような考察を含んだ研究成果を2回(8月鳥取での全国学会,1月バンコクでの国際学会)にわたって,学会で発表し,両国の違いやその要因について議論を深めることができた。
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