研究概要 |
1(基本データの作成) 既に収集していた学習者応答コーパスを元に,どのようなトピックの場合にどのような意味概念が出現する傾向にあるのかを調べた。たとえば買い物の話題では,場所,頻度,交通手段が頻出する。意味パタンとしては「移動+着点(go to...)」「活動+場所(buy...at...)」があるが,学習者は*go shopping toのような両者混用の誤用をする。また,「心情+程度」のパタンではlike...very much.は言えるが,really like...はまれである。以上のような意味パタンのうち汎用性・頻度が高いものを選定し,教材作成に繋げることとした。 2(ネイティブとの比較) 学習者が受けたものと同じ応答テスト(質問に15秒で応答)をネイティブスピーカー7名に実施。まず,ネイティブは学習者の3倍の語数を話す。次に,意味パタンとしては,たとえば頻度表現ではI don't...very often, maybe twice a year.のように「漠然頻度+具体頻度」を用いるが,学習者にはほとんど言えない。 ネイティブの使う表現・パタンの一般性,教材への応用を知るために,英米の会話テキスト(10冊)及び高校のオーラルテキスト(12冊)を電子コーパス化し,検索可能とした。以上を教材作成時の参照物とした。 3(教材・指導法の開発) 上記を基盤に,マルチメディアソフトFlashによって,アニメーション付練習教材を試作し,授業で実践した。この試作教材はトピックをベースに意味概念・パタンをexemplar(用例)として練習していくという方式である。効果として,学習者はexemplarを応用すること,発話量が伸びることが判明した。成果の一部は「中国地区英語教育学会紀要」38号(2008.4.1発行)に掲載された。
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