研究概要 |
本年度(2年目)の大きな成果は,作成したマルチメディア教材を使用した結果,これまでの年度と比較してスピーキングの能力伸長に大きな差が生じることを確認した点である。本年度Semantic Pattern Practiceに基づいた教材を使用したクラスと,2005年度(科研取得以前)に異なる方法で教えたクラスとを,同じスピーキングテストで比較したところ,流暢性,正確性,構文複雑性の3点全てにおいて統計的有意差があった。 教材の作成にあたっては,昨年度の蓄積(ネイティブの発話収集,各種英語教材のコーパス化)を基盤に,意味パタンを精選し,それをFlashによるイラスト静止画・動画を組み込んだ教材として仕上げた。さらに,より上級の教材としてExcelに音声をリンクし,意味パタンと会話トピックを融合させた教材も試作し,後学期に使用した。また,個人差への対応として,応答時間にオプションを設けたり,ヒントの画面を参照できるようにする等の工夫を加えた。その他,新たに2名のネイティブスピーカーの応答場面を録画し,動画編集ソフトによって整理した後に,教室での学習者の応答活動の際に示すモデルとして活用すべく作業を継続中である。理論面では意味パタンに関する理論的枠組みを充実するためにかなりの文献的調査も行い,とりわけ言語学者Fillmoreの意味論が本研究に示唆的であることを理解し,応用を試みている。 成果は全国英語教育学会(東京)及び九州英語教育学会(福岡)で口頭発表し,論文化した(印刷中)。
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