本研究は3年間の継続研究(平成19~21年)で、主な研究目的は、1)上級英語学習者の発話能力向上に必要な方略使用能力を効果的に育成するための教材(タスク)を開発すること、2)それを応用した指導法を考案し、検証することであり、交付申請書(平成21年4月20日付けで提出)に記載したとおり、最終年にあたる平成21年度は3年間の研究成果をとりまとめ、発表することとした。 口頭発表については全部で4件(国内3、海外1)を行なった。内、本研究の集大成として発表したのが「学会発表」の欄の4番目に記載した"Creating a Real Context of English"と題する発表である。これは本研究のはじめの2年間で開発したタスクなどにより指導を行った授業で、学習者の英語使用に対する姿勢や能力、そして本研究の鍵語である英語の方略的な使用にどのような変化が生じるのかについて、2種類のアンケート調査を実施し、指導の事前・事後の違い、あるいは経年的な変化状況を統計的に分析したものである。分析の結果、方略的な言語使用すべての面について有意な変化が得られたというわけではないが、討論や自分の意見を表現しようとする取り組みの姿勢や、英語の使用に対する大きな意識的変化が生じていることがわかった。この口頭発表については、論文として学会誌に登校し、平成22年度中に発行されることになっている。 投稿論文は上記を含め全部で3点(内1点は共著学術書)を発表した。残りの2つのうち1点については、所属学会のシンポジウムのパネリストとして招待され、発表した内容を論文としてまとめたもので、方略的言語使用野力を促進するための実践的取り組みを紹介した。また一連の方略指導の理論や実践について、「コミュニケーション能力育成のための方略指導」と題する論文(1章分)を執筆し、本研究についても触れた。
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