研究課題
本研究は、異文化問能力のなかでも「異文化間の気づき」能力育成を目的とした教材の工夫に取り組むものである。まず、外国語教育にintercultral/interculturel概念が導入されて以来の先行研究を踏まえ、当該能力の定義をあらため(学習者の外側で実体化される目標文化と出身文化の対比的定義に即した気づきというより、学習者内で主観的に定義された両文化関係を自省/再構築していく能力である)、フランス短期留学中の日本人大学生に対し、この能力育成を目的とした日記帳型教材を提案する場合の内容を検討した。白紙の日記が自動的に自省を促しはしないし、目標文化との直接接触が自動的にこの能力を育成するわけでもない。文化人類学的参与観察の手法、「テーマ日記」作文指導法、日本語教育におけるジャーナルアプローチを参考に、異文化体験時の主観をみつめる指示文(「つづけ書き」を求める指示)と、その主観のふり返りを促す指示文、主観を規定するものを探る指示文(「読み返し」を促す指示)工夫し、これら指示文および交換目記形式にした場合の他者のコメントの効果を測定するために、研究分担者の担当大学生のうち2007年9月にフランス短期研修に参加した12名を対象に、第1回の実験を行った。結果を分析したところ、第1回実験のジャーナルでは、自分の視点の変化を意識化させることは、ある程度までできたが、自分の視点を規定しているものの反省までは至らなかったと言える。交換日記形式は、つづけ書きを放棄しない抑制の効果と、自分の視点を意識化する効果はもたらすが、自省を深める効果はなかった。第1回実験の結果分析を踏まえ、「つづけ書き」頁、「読み返し」頁レイアウトともに改訂したジャーナルを、研究代表者の担当学生のうち2008年2月のフランス現地研修に参加した17名に配布し、第2回実験を行った。
すべて 2008 2007
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