研究概要 |
本研究の主な目的は,効果が期待されながら,具体的な活用事例がこれまでほとんどなかった日英パラレルコーパスを使ってデータ駆動型の英語指導法を実践し,その教育効果を検証することである。具体的には,1)パラレルコーパスを利用した指導法の提案と教材の開発,2)開発した教材の指導実践と学習効果の測定,3)コーパス検索サイトの開設やワークショップの開催によるコーパス利用の推進である。平成19年度の実績は以下のとおりである。 実施した事項のうち研究目的1)については,第二言語習得研究に基づく認知プロセスに沿う形で,一般英語授業における,コーパス利用学習を組み込んだデータ駆動型の英語指導法を提案した。研究目的2)については,名詞句構造と動詞句構造を重点的に学習する教材を開発し,指導実践を行い,学習効果を検証した。その結果,開発した教材は英文理解の基礎となる種々の文法項目の能力を向上させることが確認できた。研究目的3)については,パラレルコーパス専用のウェブ検索プログラムのプロトタイプ作成を完了し,今後,試用しながら改良を加えていく予定である。 研究成果としては,基礎研究として行った日英パラレルコーパスの教材レベルに関する論文が,E..Hidalgo他(編)の著書に採録され,Rodopi(アムステルダム)より出版された。開発した教材を使った指導実践とその効果についてはAsiaTEFL国際会議(6/10/2007)にて報告し,同会議発表論文集に論文を公刊した。また,開発した指導法およびコースウェアの詳細を日本大学生産工学部研究報告Bに公刊した。さらに,普及促進活動として,英語教員,英語教員養成課程学生対象にワークショップを千葉大学にて開催した(11/30/2007)。今後,改良した教材・指導法・検索プログラムについて,国内・国際学会において報告する予定である。
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