20度における研究の成果を全国英語教育学会・中部地区英語教育学会・LET全国研究大会と英語授業研究大会で研究代表者と研究協力者が6件発表し、査読つき紀要に3点採用された。特に中学校・高等学校における10分間多読がそれなりの効果をあげたことについて評価を得たことは、平成22年度からの科学研究費補助金による研究「多読指導が単語認知処理と統語解析処理の自動化に及ぼす影響」を進めるにおいて良い基盤となるものである。 21年度の多読実践は中・高・大において順調に実施された。多読の効果を測定するためのプレ・テストとポスト・テストを実施した。20年度までのように、エディンバラ大学応用言語学研究所が開発した多読用リーディングテストと動機付けに関するアンケート以外に、『高等学校においては、コンピューターを使った単語認知処理テストを実施した。中学校用の単語認知処理テストも作成したが、学校のコンピューターが古くて実施できなかった。単語認知処理テストはプライム語とターゲット語が、日本語から英語、絵から英語、連語で動詞から名詞の3種類を作成した。プレ・テストの結果かを分析したところ、特に絵の提示に問題が幾つかあったので、絵を換え、修正版を作成した。ポスト・テストも一部の学校で実施できたので、単語認知処理の速度や効率の伸び、読解力と単語認知の効率との関係、多読の伸びと単語認知処理力の伸びとの関係について分析・検討中である。この結果を22年度の学会に発表する予定である。 多読が読解力向上に有益であるとする理由は、多読が単語認知処理の自動化を促進するだけでなく、統語処理の自動化も促進することにある。これらめ処理の自動化を今後の研究課題としたい。
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