研究概要 |
協力的なアクション・リサーチは個人で実践されるアクション・リサーチよりも教師教育に効果があり、学校改革、カリキュラム改革の基礎となる(Burns,1999)、と言われている。しかしながら、実際のところ、教師が協力的なアクション・リサーチを通して、どのように成長し、自分の授業を変え、学校のカリキュラム改革を実践しているのかはほとんど研究されていない。 平成19年度から22年度にかけて、延べ70名の中学校・高校教員(英語)が名古屋外国語大学主催のアクション・リサーチに参加した。5月にオリエンテーションに参加し、アクション・リサーチの計画を立て、6月から毎月実践報告をした。参加者は、それぞれ中学校、高校のグループに分かれ、アドバイザー(大学教員)や他の教員から助言を受けて、毎月、授業案を見直し、授業を改善した。8月に中間発表をし、3月に年間のまとめの実践報告をした。 授業見学、アンケート、実践報告、インタビュー調査の結果、参加者は、継続的かつ協力的なアクション・リサーチを実践して、自分の授業を振り返る習慣を身に付け、授業を改善し、生徒の学習効果を高めることができたことが明らかになった。特に、同じグループの教員のアイデアやアドバイザーの助言が授業改善に役に立った、ということが分かった。 しかし、問題点も明らかになった。毎年、15~20名が参加したが、自分の実践やアイデアを職場の他の教員と共有し、カリキュラム改革に役立てることができたのは、数名のみだった。学校ぐるみでカリキュラム改革をどう進めるのか、個人のアクション・リサーチの実践をどのようにカリキュラム改革につなげるのかが、今後の課題である。 この点で、平成20年から継続している岐阜県立各務原高校の英語カリキュラム改革プロジェクトは、注目に値する。県の教育委員会、学校からのサポートがあり、学校ぐるみでアクション・リサーチが実践され、英語カリキュラム改革を実践している。
|