学習者のコミュニケーション能力の向上を目指した中国語教育法(学習法・指導法)の開発を目的とした本研究においては、平成19年度の2つの研究目標は予定通り達成しました。1つ目は、「場面付き学習」が学習者のコミュニケーション能力の向上に及ぼす効果について、一年にわたって実践研究を行いました。その結果、本研究で提案した「場面付き学習」が(即ち、言語学習におけるインプット及びアウトプットの内容として、「文法的正確性」だけでなく、個々の文の「場面的適切性」も要求する)、学生の言語形式に関する理解力を育成するとともに、言語機能に対する意識及び能力を高めることが確かめられました。2つ目は、タスクに基づいた指導法、即ち、「言語知識」の学習後、単に文法・構造・語彙などを練習させるのではなく、実際に近いコミュニケーション目的を成し遂げるための作業や課題を学習者に求める、という方法が、学習者のコミュニケーション能力の育成にもたらす効果を検証するための先行研究を行いました。半年にわたった先行研究の結果、タスク指導法が中国語教育での応用可能性を証明したうえ、タスクの選択、分類、実施する際の注意点などの面について具体的な提案もできました。それは次のステップの研究に重要なレディネスとなります。
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