学習者の中国語を用いたコミュニケーション能力の向上を目指した中国語教育法(学習法・指導法)の開発を目的とした本研究は、3つの実践的授業研究を予定していました。具体的に、「実験1」では、状況付き学習がコミュニケーション能力の育成にもたらす効果を検証する。「実験2」では、タスクに基づいた中国語の授業がコミュニケーション能力の育成にもたらす効果を検証する。「実験3」では、機能重視の中国語授業がコミュニケーション能力の育成にもたらす効果を検証する、という3つも研究目標です。 19年度に、実験1は計画通りに行われ、その成果は発表されました。また、実験2の先行準備も予定通り完了しました。20年度は、予定していた2つの研究目標は順調に達成しました。1つ目は実験2の完成です。具体的に、前年度に収集したいくつかのコミュニケーション「タスク」(課題)を用い、前期の半年をかけて実践授業を行いました。その結果、「文法説明+文法練習」という現行の中国語指導法より、学習者にコミュニケーション課題に取り込ませ、その課題の解決の過程の中で外国語を理解し使用する機会を与える、いわゆる「タスク中心指導法」のほうが、学習者のコミュニケーション能力の向上につながることがわかりました。2つ目は実験3の完成です。具体的に、一年をかけて、いくつかの中国語クラス(初級・中級・上級)で実践研究を行いました。その結果、中国語教育においては、「構造中心」の指導法は学習者の言語知識の習得には効果的であるが、学習者の言語知識の運用能力を強化するためには、「構造・意味・機能」という言語の3つの側面を1つの場面を介して一体化する指導法が必要であることがわかりました。 また、2年間の研究期間の最後の年となる本年度では、2年に行った研究を最終まとめ作業をし、結果を報告しました。
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