研究概要 |
本研究の中心的研究課題は外国語としての日本語教育の領域における学習者コーパスの研究である。そのためには学習者コーパス研究において豊富な先行研究を有する英語学習者コーパスの知見を学ぶ必要がある。その趣旨に沿って、初年度は、ICLEの創始者であるGranger Sylviane(1998)編著の論集Learner Englishを邦訳し『英語学習者コーパス入門』(研究社)を3月に刊行した。また、Grangeの弟子Dr.G.Gilginをベルギーより招き、直接に細かい研究手法の指導を仰ぐとともに意見交換を行った。 ICLE-JP(総語彙数200,827)とLOCNESS(同168,314)を用いて日本人大学生のMAKEの使用について分析考察した。この成果は「日本人大学生のEFL学習者コーパスに見られるMAKEの使用」と題して『関西大学外国語教育研究』第14号(31-45)に発表している。 類似テーマで書いた日本人大学生の日本語ライティングとエキスパートのライティングを構築する予定であったが、外国人学部留学生(1年生)による日本語学習者コーパスの構築を優先させることにした。従って、春学期日本語II(総エッセイ数延べ約250点:4ケ月の縦断データ)および秋学期日本語IV(総エッセイ数延べ468点:4ケ月の縦断データ)の手書きのアカデミックライティングを学習者の許可を得て収集し、これをテキスト化しコーパスとして構築する作業を行った。その一方で、エラータグ付けを行う前段階として、エラー分析の作業を3名(日本語教師の視点から望月、英語教師の視点から佐久、中国人日本語教師の視点から芦)で進めている。情報付与は、和泉絵美氏の助言を得て、準備中である。
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