研究概要 |
研究開始初年度の平成19年度は、各テストの作成から始まり、テスト・アンケートの実施時期が各学年終了時の平成20年3月にならざるを得ないこともあり、「小学校英語教育の開始学年の低下の影響を同一ポイント(中学校)で定点観測する」という研究目的の、第1回目のデータ収集に事実上終わった。平成21年3月に2回目のテスト・アンケートを実施したため、比較分析を本年度から開始する。しかし幸いにも昨年度は「小学校英語教育活動をほとんど受けていない」別地区の中学1,2年生の70名に対しても、同時期にJACEテスト・アンケート・インタビューの協力が得られた。この学校(B校と以下表記)は保護者の社会経済的なバックグラウンドが、ほぼ本研究実施校の寝屋川六中と同程度と考えられ、英語活動はほとんど行っていない。年数回の「国際理解活動」(地域の外国人と料理を作る)がメインの行事になっていて、非英語圏からのゲストがほとんどであるため、日本語でのやりとりで担任、JTE (Japanese teacher of English)が年間スケジュールを組んでいる。 このB校との比較の結果、中1ではJACEテストの語彙・文法力、リスニング、リーディングスコアの比較に於いて英語特区寝屋川が全般的にB校を上回り、スピーキングはテストでは統計的に有意な大差で上回った。中2ではJACEテストの語彙・文法力、リスニング、リーディングスコアの比較に於いて寝屋川が全般的にB校を上回り、スピーキングさらにはリスニングにおいても統計的に有意な大差で上回った。しかし情意面では中1中2ともB校と有意差の検出できる項目は無かった。 こうした結果は2008年7月の小学校英語教育学会(JES)の発表や2008年9月の日本リメディアル教育学会(JADE)の発表で詳細した。また、英文で調査内容の詳細をJADEの学会誌にて発刊の予定である。また海外の学会でも科研費研究の成果として発表させてもらった(米国、カンボジア)。
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