研究概要 |
本年度は、この3月に実施した2008学年度JACEテスト、インタビューテスト、情意アンケート結果を2007年度分と比較統計分析した。現在時点(2010年2月末)で明らかになっていることをまとめる。2008学年度N中生の小学校英語の履修時間数は、中3は35時間(前年度12時間)、中2は70時間(同35時間)、中1は70時間(同70時間)と中3で若干、中2で倍増している。研究仮説としては、2008年度中3生、特に中2生については小学校での履修時間が増えている分、英語スキルスコア、情意スコアが向上していると考えられる。中1生に関しては総履修時間数が同じで、差はないと考えられる。 結果は英語スキルに関しては語彙・文法、リーディング、リスニングの3項目で、中2は3項目全てで2008年度生が2007年度生スコアを「有意に上回った」。中3、中1は3項目全てで「有意差なし」であった。また例年中2の1クラスのみを対象に実施しているスピーキングテストでは、2008年度生が2007年度生を「有意に上回った」。情意アンケートに関しては、中2,中3両学年とも5要因23項目で2008年度生、2007年度生間の有意差はなかった。ただし中1では「英語学習に対する考え方」(5項目)で2008年度生が2007年度生を統計的有意に下回った。 さらに英語スキルと情意の相関は中1では皆無、中2で有意のものが少し出たが、中3では5要因中ひとつを除いて、3スキルとの間に全面的に相関関係が認められた。学年が上がるにつれて相関関係が増加する傾向が見られる。つまり中1ではスキルと情意の相関が全く見られず、スキルスコアの高い者が必ずしも英語学習の情意アンケートで肯定的に回答しているのではないことを示唆している。小学校と中学校のカリキュラムの連携が十分でないことが一因かもしれない。しかし、学年が上がるにつれて、相関関係が増すことから、生徒が中学校での英語学習内容・教授法に徐々に「切り替え」て、適応してゆく様子がうかがわれる。
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