研究概要 |
本研究は,外国人学習者にとって難易度に影響を及ぼす言語要素を変数として取り入れた新しい計算式を作成することによって,外国人学習者のための新しいリーダビリティ指標の数式とこれを算出するコンピュータ、ソフトを開発することを目的としている。リーダビリティ指標の数式を開発するために,本研究では,実行可能で,貢献度が高いと考えられる,あらゆる要素を用いて多重回帰分析を行い,最も効率よく,かつ,効果的にリーダビリティを予測できる変数の組み合わせを探し出し,これに基づき計算式を作成した。多重回帰分析で変数として用いた要素は,(1)文の長さ(1文あたりの語数),(2)語の長さ(1語あたりの音節数),(3)語難易度,(4)熟語難易度であった。文の長さ,語の長さ,3種類の語難易度測度及び2種類の熟語難易度測度のすべての組み合わせの中でリーダビリティの予測度(説明度)が最も高かったものは「文の長さ+語の長さ+教科書に基づいた単語難易度+教科書に基づいた熟語難易度」で,その計算式は以下の通りであった。 Year=0.0995^*Words/S+0.4302^*Syllab/W+0.9799^*WordDiff/W+0.0633^*IdiomDiff/S+0.2815 (F=505.11970,df=4,2874,p=.00000)(r^2=0.41281) この計算式に基づき,英文リーダビリティを自動的に算出するためのコンピューター・プログラムを開発した。 次年度は,更にこの指標の精度を改善し,同時にこの指標の測定結果が主たるユーザーである英語教師の判断とどの程度一致するかを経験的に測定し,指標の妥当性を検証する予定である。
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