研究概要 |
本研究では,英語学習者の個人特性を包括的にとらえ,得点化し,それにもとづき学習者に学習上のアドバイスを与える診断的フィードバックシステムを開発する。英語学習者の個性を認め,一律的な教育だけにとどまらず,個性を考慮に入れた自主的な学習活動を促すことを大きな目標としている。本年度は,オンラインで調査を実施し,MySQLと連動することにより,調査後すぐに調査結果に対してのフィードバック文が自動生成される仕組みをつくるために次のようなことを行った。個人特性を抽出するために扱った学習者データは,性別,学部,テストスキル,ストラテジー使用,学習不安,モチベーションで,教育実践の中で得られた約3000名の実データを分析した。因子分析項目応答理論よる分析を経て,項目の精選を行い,大量の項目に回答する学習者への負荷と尺度の信頼性のバランスを考慮した新たな尺度を構成しなおした。また,分析結果より,得点化する数式を導き出して,オンライン上でレーザーチャートが示されるようなプログラミングを組み,調査終了後,すぐに結果が反映されるようにした。次に,学習者の特性に応じてグループ分けを行い,集団の特性の抽出も試みた。Rasch DIF(差異項目機能)による分析から得られた情報を基に,学習者の特性に応じて,推奨される語学コース,学習法,ストラテジーなどが紹介されるよう,共同研究者と共にそのカウンセリング文を作成した。このカウンセリング文についても,調査後,すぐに反映されるようなシステムにした。実際の教育現場におけるこのシステムの運用は来年度より開始する。
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