研究代表者および研究分担者が担当する授業で、昨年度設置したインターネット上の教育支援システムを利用し、課題の書き込みおよび継続的な授業アンケートを実施することができた。アンケートの自由記述を質的に分析することにより、自らの「学び」に対する学生の意識の変化が明らかになった。具体的には、「医学英語」の医療関連語彙の学習が、はじめは単に「憶える」のが苦しい暗記作業であったのが、徐々に専門科目との関連を持った「役に立つ」行為であると感じられるようになっていく様子がわかった。ICTを活用したプロジェクト型授業の設計、実践、学びの意識変化については、RELC International Seminarおよび日本医学英語教育学会において口頭発表を行った。さらにWorld Congress of Applied Linguisticsでは、学びの変化、すなわち英語が単なる知識の積み重ねから、コミュニケーションの道具と意識されるようになる過程を、活動理論と状況論の枠組みを使って説明を試みた。授業設計の今後の課題として、単一学期の授業だけではなく、長期的な視野をもったESPカリキュラムを設計する重要性、また、限られた時間でいかに学生のアウトプットを増やすか、などが浮かび上がってきた。 昨年度着手した放射線技術関連の学術雑誌のテキストを対象としたコーパスのデータにさらに具体的な症例と診断に関する記事のテキストを追加した。この種のテキストをコーパスデータに加えることで、より実践に近いレベルの言語データを加えることができた。今後は、本分野における特徴語の抽出と、最近注目されているlexical bundleについての研究を進める予定である。
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