研究課題/領域番号 |
19520545
|
研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
榎森 進 東北学院大学, 文学部, 教授 (10145972)
|
研究分担者 |
七海 雅人 東北学院大学, 文学部, 准教授 (00405888)
谷本 晃久 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (20306525)
|
キーワード | 列島北方地域 / アムール川 / サンタン人 / 諸民族 / 文化交流 |
研究概要 |
平成19年度の研究実施計画の要点は、「研究の目的」を達成するために、主として15〜19世紀の「列島北方地域」とアムール川最下流域の諸民族に関する中国側の文献・記録類を調査すると共に、日本側の関係諸記録、特に文化・文政期の松前・蝦夷地の幕府直轄に関わる幕府勘定方の文書である備後福山藩主・阿部正弘家家伝文書「阿部家文書」と幕末(安政・慶応期)の幕府の蝦夷地直轄に関わる中心的な史料である「箱館奉行所文書」の収集と分析である。そのために先ず15世紀における中国の王朝のアムール川下流域の諸民族に対する政策の特徴を解明するために明代の関係文献を収集すると共に『明実録』の関係記事の内容を詳細に分析した。また、日本国内の関係史料については、国立公文書館・函館市中央図書館・北海道立文書館・北海道立図書館等において調査・収集を行い、その内容分析を行った。 これらの調査研究によって解明出来た主な内容は、以下の通りである。 (1)15世紀における明朝のアムール川最下流域の諸民族に対する政策の特徴と明朝及びこれら諸民族との交易の特徴を実証的に解明することが出来たこと。この研究成果は、榎森が「明朝のアムール政策とアイヌ民族-アムール川最下流域の諸民族とアイヌ民族の交易を中心に-」(菊池歳矛・中村和之編『中世の北東アジアとアイヌ-奴児干永寧寺碑文とアイヌの北方世界』高志書院、08年3月)として公表した。 (2)17世紀〜幕末の蝦夷地のアイヌ民族の社会のあり方をはじめ、サハリンのアイヌ民族とアムール川最下流域の諸民族との交易の特徴について、谷本晃久がその概要と問題点を整理した。この研究成果は、谷本が「近世蝦夷地在地社会と幕府の対外政策-蝦夷地第2次幕領期を中心に-」(『歴史学研究』833号、07年10月)及び谷本の共著『海域アジア史研究入門』岩波書店、08年3月)として公表した。 (3)研究論文としては発表出来なかったが、幕末に幕府がサハリンの南端に設置した「シラヌシ会所」に交易に来る「サンタン人」の名前・出身地・交易品等について把握することが出来た。その結果、「サンタン人」と称されながらも、彼等の中には、現ニブフ民族が多く含まれていることが明らかになった。 以上の諸点である。
|