(1)本研究の目的:徳川将軍の上洛という日本近世史上、幕藩初期と幕末期に集中した大規模で特色ある事件のうち、元和9年(1623)の事例に時期・対象を特定し、4年間の集中的・系統的な共同史料調査と研究により、将軍秀忠・家光父子の上洛と将軍職交代の同時代社会への影響について基礎的事実を復元・解明しようとするものである。 (2)具体的な課題・論点:当初から膨大である事が予見された関連事象中、検証・究明すべき課題・論点を以下のように整理した。 (1)上洛供奉に動員された大名の対応、家中・領内への負担転嫁、沿道・滞在施設整備の実態究明。(2)沿道や洛中洛外地域社会で展開された儀礼や交流の研究。(3)江戸幕府・朝廷・藩の間で授受された文書等の史料学的・古文書学的研究と伝達回路の復元。
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