研究課題/領域番号 |
19520560
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山家 浩樹 東京大学, 史料編纂所, 教授 (60191467)
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研究分担者 |
渡邉 正男 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (80230994)
末柄 豊 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (70251478)
高橋 典幸 東京大学, 史料編纂所, 助教 (10292799)
川本 慎自 東京大学, 史料編纂所, 助教 (30323661)
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キーワード | 中世史 / 禅宗寺院 / 史料学 / 古文書学 / 妙心寺 |
研究概要 |
本研究は、禅宗寺院やその塔頭(院家)から流出し分散して伝来している文書を本来の文書群に復元することにより、個々の文書の分析に新たな情報を加えることを目的とする。 1本年度はおもに、復元の前提となる、禅院流出文書の収集に努めた。対象は、(1)近世・近代を通じて禅院から離れ分散した文書(原本および写本中の写)、(2)中世末以降に生成される妙心寺派の雑録類に書写された文書写、である。 (1)では、多様な蒐集文書群から、禅院より分散したと思しい文書を網羅的に収集することに努めた。史料編纂所架蔵史料のうち、各種売立目録を検索し、また影写本(明治以降作成した原本からの忠実な写)からの検索を進めた。検出史料のグループ化、すなわち本来の文書群への復元も並行して試行し、一部は謝金でデータ化した。また京都鹿苑寺ほかで調査および写真撮影を行ない、禅院文書の伝存および蒐集の現況を確認することができた。 (2)では、史料編纂所に架蔵しない雑録類の検索に努めた。都内国立公文書館ほかで調査のうえ写真焼付を購入し、岐阜県関市長春寺(妙心寺派)ほかで語録や雑録を調査のうえ写真撮影を行なった。とくに基礎資料となる版本「頌文雑句」の所蔵状況を調べ、一部は焼付を購入した。 2分散文書個々の分析では、山家が論文「恵林寺をめぐる三題」で、戦国期の雑録にみえる甲斐恵林寺宛書状を分析した。武田信虎時代の恵林寺の状況を示す史料は少ないが、この書状はその好材料で、妙心寺派へと転化する前段階の恵林寺の様子を示していることを明らかにした。
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