研究課題/領域番号 |
19520571
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
坂江 渉 神戸大学, 大学院・人文学研究科, 講師 (00221995)
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研究分担者 |
中林 隆之 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 研究員 (30382021)
高橋 明裕 天理大学, 国際文化学部, 非常勤講師 (90441419)
古市 晃 花園大学, 文学部, 講師 (00344375)
松下 正和 神戸大学, 文学部, 非常勤講師 (70379329)
毛利 憲一 平安女学院大学, 国際観光学部, 講師 (00425026)
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キーワード | 播磨国風土記 / 神話・伝承 / 共同体研究 / 地名 |
研究概要 |
本研究は現地調査等を踏まえた『播磨国風土記』の地名説話や神話の逐条分析を実施し、それにより古代地域社会の構造の復元的研究を目的とする。本年度の研究成果は、以下の通りである。 (1)2007年4月27日、5月29日、7月7日に、研究分担者や研究協力者間の研究会を催し、風土記の各地名説話の中身や現地比定地等に関する問題点や課題について洗い出し、その成果の一端を坂江渉「風土記の時代の河合地区」、同『本庄村史』歴史編に発表することができた。 (2)2007年5月17日と7月8日に、風土記(揖保郡条)に地名説話が載る「韓荷島」(現唐荷島、たつの市)と「神嶋」(現上島、姫路市)を訪れた。両無人島の現地調査をおこなうことにより、「韓荷島」では島内各地の沿岸部で多くの古代〜中世の土器片を採集し、本島が漂着物が流れ着きやすい場所であることを確認できた。また「神嶋」では、風土記の中で「顔面に五色の玉を埋め込んだ石神」に相当すると思われる巨石(地元漁師の間で「人面石」とも呼ばれる高さ約13mの岩)の存在を確認し、風土記伝承の実態解明に近づくことができた。 (3)2008年3月31日には、風土記の揖保郡枚方里条にみえる「神尾山」の交通妨害神伝承に関わる太子町北部の笹山の現地踏査をおこない、「神尾山」や「佐比岡」の現地比定地に関わって、従来とは異なる認識を得ることができた。 (4)たつの市教育委員会の文化財担当職員から情報提供のあった山口県小郡文化資料館蔵の「秦益人刻書石」(仮称)の実地調査作業を断続的におこなった。同石には『播磨国風土記』に地名が載る「飾磨郡因達郷」の文字がみえ、その用途や石の性格を明らかにすれば、研究史上、画期的な意義をもつ可能性がある。2007年8月10日と10月19日に現地調査、12月7日と2月14日には専門家を交えた現地調査検討会、2月26日〜28日、3月17日に専門家による実測と写真撮影等を実施した。その詳細な分析については来年度以降の調査にゆだねたい。
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