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2007 年度 実績報告書

国家神話としての「北方領土」形成プロセスおよびその日ロ交渉への影響メカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 19520576
研究機関岩手県立大学

研究代表者

黒岩 幸子  岩手県立大学, 共通教育センター, 准教授 (80305317)

キーワード北方領土問題 / ロシア / 根室 / 北方領土返還運動 / 南千島
研究概要

本研究は、領土問題の当事者の立場に焦点を当てながら、国是としての北方領土返還論が確立し、「北方領土」の国家神話が形成されたプロセスを明らかにすること、さらには、冷戦期に構築された国家神話「北方領土」が、ポスト冷戦期の日ロ領土交渉の進展を阻んでいるメカニズムを解明することを目的としている。
1960年代末まで日本国民には馴染みのなかった「北方領土」が、どのような操作を経て日本固有の領土として認識され、全国的な返還要求運動が展開されたのか、そのプロセスを明らかにすることに本年度は重点を置いた。
まず、1960年代以降の政府、自治体、民間団体による啓蒙活動、刊行物などから、国論としての「北方領土返還」を固める論拠や言説を抽出し、さらに、地図や教科書における「南千島」抹消と「北方領土」の新規記載の実態を調べた。
その結果、「北方領土」という名称の定着は1970年代以降であること、1970年代から四島の地図がロゴ化し、教科書の記載が書き換えられ、官主導の返還運動が全国展開していったことが明らかになった。ソ連軍による四島占領の背景や実態が不明瞭なままに、「固有領土奪還」の概念が日本国民の間に広がり、国民運動としての「北方領土返還」が定着する一方で、当事者である元島民や根室住民は、漁業を生業とするがゆえに、密漁等に走らざるを得ず、領海問題に苦しむことになった。
2007年8月に、根室市に滞在して元島民・行政関係者・返還運動家などにインタビューを取ったところ、地方経済が疲弊するなかで、領土問題の解決に対する熱意や意欲は明らかに低下していた。戦後60年を過ぎてもなお解決のめどを立てられない日本政府に、補償を求める声も上がっている。領土返還運動の母都市であるはずの根室から、「四島返還」にこだわらない柔軟な提言が生まれる可能性もある。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2008 2007

すべて 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] O sozdanii, razvitii i znachenii dvijeniya za vozbraschenie Severnykhterritorii2007

    • 著者名/発表者名
      黒岩幸子
    • 学会等名
      第23回日露極東学術シンポジウム
    • 発表場所
      ロシア科学アカデミー極東支部(ウラジオストク)
    • 年月日
      2007-09-10
  • [図書] Russia A New Cold War?2008

    • 著者名/発表者名
      Michel Korinman
    • 総ページ数
      335-348
    • 出版者
      Vallentine Mitchell

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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