1950年代を中心に京都地域で展開された国民的歴史学運動の展開過程、教育現場・文化行政などへの影響を明らかにするため、本年度は以下の活動を行った。 1、資料調査 京都教職員組合所蔵資料については、京都教育センター資料室での資料整理・目録作成作業を実施し、概要をとらえるとともに、今後の資料保全作業の見通しを立てた。奥丹後地方教職員組合所蔵資料については、2008年10月4・5日と2009年3月12・13日に、研究協力者5名(3月は8名)とともに調査を行い、全容を確認した。さらに東京にて関連資料の調査を行った。 2、聴き取り調査 松尾尊兌氏(京都大学名誉教授)、脇田修氏(大阪大学名誉教授)、池田富氏(元京都市立小学校教員)、奥丹後教職員組合教員(堀江保次氏ほか5名)、から、国民的歴史学運動や戦後京都における教育運動について聴き取りを行い、音声データを記録し、一部を文字化した。 3、研究成果の公表 2008年7月13日に京都市内で行われた日本史研究会・京都民科歴史部会共催の市民講演会『祇園祭-よみがえる歴史とイメージ-』で研究代表者が「紙芝居『祇園祭』の再発見」と題する報告と、半世紀ぶりに復原した紙芝居の学生サークルによる実演を行い、150名余の参加者から好評を博した。『毎日新聞』や『京都新聞』等の地方紙、NHK京都ローカルのニュースでも本企画が取り上げられた。 また2009年1月24日に京都教育文化会館において開催された京都教育センター研究集会にて、研究協力者の生駒佳也(京都大学大学院)が、京都教職員組合資料を用いた修士論文の内容をもとに、1950年代の京都の教育状況に関する小報告を行った。
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