1. 東大寺大仏に関する研究 2008年9月9日に日本史研究会古代史部会・中世史部会(合同部会)席上で、「宮と寺-東大寺大仏供起源考-」と題して報告を行い、東大寺大仏が天皇の宗教的権威を分与する形で成立し、平安京遷都後に天皇権威の抽象化にともなって、大仏もより国家的性格を明確にするように変貌したことを明確にした。なお、同報告をもとに成稿したものを投稿した。 2. 祥瑞・宗廟・山陵 (1) アルバイトの投入と購入したデータベースを利用して、史料整理を行った。具体的に、(a)中国史に関する史料整理は、唐代を中心にカード化を進めるとともに、倭・日本の「天皇霊」に類似する中国「宗廟之霊」などのカード化を行った。(b)朝鮮史に関する史料については、『三国史記』の宗廟・山陵・瑞祥に関する史料を整理し、エクセルの表形式によるデータ化も終了しつつある。(c)倭・日本の瑞祥史料の整理したものの校正を始めた。 (2) 祥瑞制度や宗廟・山陵制度を通して、東アジア世界の中での倭・日本の天皇権威の位置づけを明確にする作業をすすめた。具体的には、7世紀後半の倭において新羅の影響を受けたと想定される祥瑞の政治的利用を明らかにしている。なお、この研究成果と関連し、2008年11月10日大東市だいとう塾において「古代の祥瑞思想と讃良郡-白山鶏と龍-」(於大東市生涯学習センター)と題する講演を行った。また、8・9世紀日本における祥瑞制度や宗廟・山陵制度に関する変遷を跡付ける作業を行った。
|