研究概要 |
本研究は、広島県尾道市に所在する真言宗醍醐派西國寺が所蔵する聖教を中心とした所蔵文化財の全貌を明らかにして、由緒ある西國寺の歴史と文化の本格的な解明を行うとともに、資料の整理・保存までも視野に入れて後世への文化財の保存継承にも資することを目的としている。 本年度は、4年計画の最終年度にあたる。予備調査で確認している約2万点の西國寺所蔵文化財の全貌解明に向けての確認調査(資料調書作成・写真撮影等)、調査済み資料の電子データ化とそのデータと原資料の照合、地形調査、石造物調査等を実施した。現地調査は、8月29日~9月1日、3月1日~3日など、研究分担者4名と調査補助員等によって進めた。この度は、聖教905点の調書作成、典籍465点の調書作成と97点の写真撮影、これまでに調査した資料の電子データ化データ化したものと原資料との照合895点、個々の資料の資料番号を確定して各資料へのラベル貼付(資料整理)177点などの作業を進めた。また、境内の地形調査も実施した。因みに、これまでに調査確認した資料点数(電子データ化した資料点数)は、聖教8,920点(3,578点)、典籍5,597点(2,855点)、近世・近代資料181点(181点)、仏像53点、仏教絵画類219点、合計14,970点(6,614点)となっている。また、資料整理作業の完了したものは9,571点である。 調査研究成果として、聖教794点のデータを掲載した『西國寺調査研究報告書第8号』を出版した。また、典籍1,236点のデータを掲載する『西國寺調査研究報告書第9号』並びに、聖教1,210点のデータを掲載する『西國寺調査研究報告書第10号』の出版準備を進めた。 さて、現在、西國寺が所蔵する全文化財の内、75%を調査、33%を電子データ化、26%を資料目録として刊行し終えたが、西國寺所蔵文化財の全貌を明らかにする本調査研究の目標の中途段階であることは言うまでもなく、今後も残り約5,000点の未調査文化財の解明と、電子データ化及び資料目録の刊行を継続しなければならない。
|