研究は、「森」と「原」「野」という対極にあるものを取り上げ、古代から中世の形成の社会の自然-人間の関係の特質を環境歴史学の視点から明らかにしようとする試みである。「森」や「原」「野」は水田や畑などの耕地に比べると、人間から遠い存在で、これまで歴史の研究の俎上にあがってこなかった。しかし、森と神社の関係、地目としての「野」の存在を考えると、自然と人間の関係を考察するもっとも重要なキーワードといえる。本研究では、歴史的アプローチと文学的アプローチを総合化し、阿蘇を中心に草原と森の関係を考察する一方、都市空間における森と野の役割を明らかにしようと考えている。
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