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2009 年度 研究成果報告書

金沢北条氏領下総国下河辺庄の総合的研究

研究課題

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研究課題/領域番号 19520593
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 日本史
研究機関神奈川県立金沢文庫

研究代表者

永井 晋  神奈川県立金沢文庫 (00443408)

研究分担者 野口 実   (40189387)
鈴木 哲雄   (20374746)
高梨 真行   (60356269)
研究協力者 角田 朋彦  京都造形芸術大学, 非常勤講師
野村 朋弘  京都造形芸術大学, 非常勤講師
橋本 素子  京都造形芸術大学, 非常勤講師
実松 幸男  春日部市郷土資料館, 館長
佐々木 清匡  吉川市役所
北爪 寛之  國學院大學, 大学院・博士課程
研究期間 (年度) 2007 – 2009
キーワード下総国下河辺庄 / 金沢北条氏 / 地域総合研究 / 経済史 / 交通史 / 喫茶文化史
研究概要

中世に下総国下河辺庄という広域荘園が形成された地域にについて、各分野の研究者や自治体の文化財担当者と意見交換を行い、現地での確認調査・聞き取り調査を行った結果、鎌倉時代に地頭として下河辺庄を治めた金沢氏が河辺・新方・野方と三地域に分割した経営形態が地域の実情に即した適切な統治の形態であったことを確認することができた。
すなわち、下河辺庄は荒川・利根川・大井川(太日川)の三本の河川が集まる水上交通の要衝という物資輸送の利便性を持つが、それは同時に、肥沃な土壌が継続的な供給される生産性の高い水田地帯という経済的優位性と水害に弱い洪水常習地帯という豊凶の落差の激しい中下流部の低地帯(新方・河辺)と、鎌倉街道中道の通る猿島台地・下総台地上の耕地帯に大きく分かれていることが明らかになった。金沢氏は、一律の基準で支配できない広域荘園に対し、本家が直轄する所領と一族や被官を郷村の地頭代(給主)に補任して治める所領に細分化し、それらを公文所が統合することで全体の管理を行っていた。
本科研では、下河辺庄の成立過程を探るために、摂津源氏の東国進出と秀郷流藤原氏下河辺氏の成立に始まり、江戸時代に語られていた下河辺庄の記憶で調査年代を終えることにした。
成立期の下河辺庄は秀郷流の本家小山氏との関係を重視したので野方の大野郷に拠点があったと推定される。下河辺庄の地頭が下河辺氏から金沢氏に交代すると、金沢氏は鎌倉の館に置かれた公文所が直轄して管理する体制をつくったので、下河辺庄は鎌倉の都市経済に組み込まれた。この時期に、下河辺庄赤岩郷は鎌倉に物資を輸送する集積地として発展を始めたと考えられる。南北朝時代になると、下河辺庄赤岩郷は金沢家の菩提寺称名寺の所領として残されたので、称名寺が任命した代官や現地側の担当者と称名寺がやりとりする書状や書類が多く残されるようになった。また、称名寺のリスク管理の中で年貢代銭納が行われ、上赤岩には年貢として納入するために保管されていた出土銭が発掘されている。
享徳の乱によって古河公方が成立すると、下河辺庄は古河公方側の勢力圏の最前線となり、簗田氏や戸張氏といった公方側の武家が庄域を管理し、扇谷上杉側の岩槻大田氏と境界を接するようになる。この時期に、称名寺と赤岩郷の関係が確認されなくなる。
江戸時代になると、下河辺庄新方は武蔵国に編入され、新方領とよばれるようになる。この地域は『新編武蔵国風土記稿』や『武蔵国郡村誌』といった詳細な地誌が残るので、地域で語られていた下河辺庄の記憶を知ることができる。
本科研は、歴史学を中心とした地域総合研究として、荘園史の枠組みを超えた地域研究を行おうとしている。調査の編目は、後述する報告書掲載論文から明らかになるし、調査の詳細は報告書の本文をご覧いただきたい。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2009 2008 2007 その他

すべて 雑誌論文 (4件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 中世東国の律院の茶2009

    • 著者名/発表者名
      永井晋
    • 雑誌名

      鎌倉 107

  • [雑誌論文] 鎌倉時代の鳩井氏と鳩ヶ谷2008

    • 著者名/発表者名
      永井晋
    • 雑誌名

      郷土はとがや 61

  • [雑誌論文] 中世東国の百姓申状-称名寺蔵「万福寺百姓申状」の世界-2007

    • 著者名/発表者名
      鈴木哲雄
    • 雑誌名

      中世の内乱と社会(佐藤和彦編)

  • [雑誌論文] 称名寺領下河辺庄赤岩郷と『ちやうせう書状』

    • 著者名/発表者名
      鈴木哲雄
    • 雑誌名

      中世の支配と民衆(阿部猛編, 同成社)

  • [学会発表] 東国出身僧の在京活動と渡宋・渡元2008

    • 著者名/発表者名
      野口実
    • 発表場所
      日於早稲田大学
    • 年月日
      2008-12-20
  • [学会発表] 鎌倉時代の春日部氏2007

    • 著者名/発表者名
      永井晋
    • 学会等名
      日於春日部市郷土資料館春日部郷土史研究会主催
    • 年月日
      2007-09-01
  • [学会発表] 鎌倉時代の鳩ヶ谷2007

    • 著者名/発表者名
      永井晋
    • 学会等名
      日於鳩ヶ谷市郷土資料館鳩ヶ谷郷土史会主催
    • 年月日
      2007-07-21
  • [備考] ホームページ等

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公開日: 2011-06-18   更新日: 2014-05-02  

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