平成19年度には、朝鮮で作製された朝鮮国図、日本国図、琉球国図に関する研究を行った。韓国の国立中央図書館、日本各地の資料館で関連史料の収集をして、論文の作成を進んだ。また、「Choson korea in the Ryukoku Kangnido:Dating the Oldest Extant Korean Map of the world(15th Century)」と題する論文を英語圏の学術雑誌『Imago Mundi』に平成19年に掲載された。この論文は、朝鮮で作製された最古の現存世界図だと考えられている「混一疆理歴代国都之図」の中の朝鮮図を取り上げている。特に通説になった作製時期を再検討して、より細かい作製時期を明らかにし、また、同時期の国家レベルのプロジェクトとの関連も検討した。また文禄・慶長の役前後に朝鮮で作製されていた日本図に基づいて、日本に対する認識を取り上げた論文を韓国語で出版された本『壬申倭乱-東アジア三国戦争』の中に発表した。特に、戦争後の日本図に焦点をあて、韓国語での先駆研究も参考にして、十八世紀初期に完成された日本図の底図や作成過程を検討した。 平成19年度には、平成20年度の向けての準備を以下のように進めた。まず、朝鮮で作製された地図を論じる論文を準備中である。また、平成20年4月の学会で別の研究を報告し、報告後、論文にまとめる予定である。加えて、二枚の朝鮮前期を現わす地図の研究も進めており、これも平成20年度に書き上げる予定である。また海外の図書館、大学図書館およびアーカイブの目録調査も行い、海外の資料機関に所蔵されている関連地図の所在の確認を進んだ。同時に、朝鮮王朝が任命された官僚の調査も進行中である。
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