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2008 年度 実績報告書

朝鮮前期の対明外交交渉に関する基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19520616
研究機関久留米大学

研究代表者

桑野 栄治  久留米大学, 文学部, 准教授 (80243864)

キーワード朝鮮前期 / 外交交渉 / 宗系弁誣 / 大明会典 / 中宗 / 嘉靖帝 / 柳溥 / 権〓
研究概要

本年度は朝鮮中宗代(1506〜44年)後半期より仁宗・明宗代(1544〜67年)を中心に官撰史料の調査と収集を行い、ひとまず中宗代後半期の中宗20年代から30年代に時期を絞って宗系弁誣問題をめぐる対明外交交渉の実態を整理・分析した。その成果の概要は以下の通りである。
1、『朝鮮王朝実録』と『明実録』を中心に朝鮮政府と明政府とのあいだで展開された外交交渉の実相について検討した。その結果、『嘉靖会典』編纂着手との情報は中宗24年に聖節使柳溥を通してほぼリアルタイムで入手されており、以後、朝鮮政府は北京に使節を派遣するたびに改訂版『大明会典』の編纂状況に関する情報収集を指示していたことが判明した。
2、実録・儒家文集のほか朝鮮使節が残した中国見聞記録を追跡調査し、この外交交渉が長期化した社会的背景を探った。嘉靖年間(1521〜66年)には賄賂政治が横行し、嘉靖帝の国政放棄もあいまって、朝鮮使節は明政府の事務繁雑により刊行遅延と帰国報告する結果となった。
3、中宗26年(1531)には聖節使・千秋使・冬至使を明に派遣する1年3貢の対明外交体制へと移行し、中宗代30年代になると漢城(ソウル)の迎接儀礼の場を通して外交交渉が進んだことも特徴である。朝鮮使節を介した間接交渉ではなく、朝鮮国王が漢城を訪問した明使と直接交渉することにより、奏請使権〓の北京派遣が決定し、嘉靖帝の勅書を獲得することが可能となった。
以上のように、本年度は研究史の空白であった中宗代後半期の対明外交交渉の具体相を明らかにしたところに意義があり、次年度は明宗・宣祖代(1545〜1608年)を中心に関連史料の整理・分析を進める予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 朝鮮中宗30年代における対明外交交渉-宗系弁誣問題をめぐって-2009

    • 著者名/発表者名
      桑野栄治
    • 雑誌名

      久留米大学文学部紀要(国際文化学科編) 26

      ページ: 49-86

  • [雑誌論文] 朝鮮中宗20年代の対明外交交渉-『嘉靖会典』編纂の情報収集をめぐって-2008

    • 著者名/発表者名
      桑野栄治
    • 雑誌名

      東洋史研究 67-3

      ページ: 72-101

    • 査読あり
  • [図書] 「朝鮮」(田中俊明編『朝鮮の歴史-先史から現代』)2008

    • 著者名/発表者名
      桑野栄治(共著)
    • 総ページ数
      165-212
    • 出版者
      昭和堂

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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