本研究は、国家の枠組みを越えてクロスオーバーした移民政策の連動と相関性について新たな視点を提供し、第二次世界大戦後の、米・加・豪の移民政策変容の際のさまざまなトランスナショナルな連動・伝播の実態を明らかにするものである。主な研究成果の一端は、第二次世界大戦後の米国移民法から影響を受けた占領下の出入国管理政策の決定メカニズムを照射し、日米関係における棘ともいえる移民問題を通じて世論が「知米」と「嫌米」を揺れ動くという「歴史の教訓」が示された経緯を検証したこと、そして、この時期を、移民問題を通じたわが国と米国との関わりや、現代日本の人の移動や移民問題にまで関わってくるトランスナショナル・ヒストリーの一分岐点として浮かび上がらせたことである。
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