本研究は、絶対王政期フランスにおいて、「権力」と「権威」という不可分の局面を体現する宮廷という場がいかに形成されていたか、その基本構造およびその実態を明らかにすることを目的としている。エリアスの古典的研究以来、しばしば王権の統治システムの要の一つとして重要視されてきたにもかかわらず、宮廷という組織の基本構造および機能が実は未解明のままであることに着目し、その構造・諸部局の実態解明、時代による変遷、その果たした機能とその変容などについて総合的な分析を目指した。具体的には、宮廷の組織的人的構造の解明(人員配置を含むフランス宮廷の詳細な「見取り図」の作成)、その時代的な変容、宮廷役人の具体的な職務と官僚集団としての特質の分析(官職売買制度との関係性)などを分析し、国王の宮廷統御の手法を検証した。
|