本研究では、連邦法によって規定された「インディアン」(厳密にいえば「市民ではないインディアン」)という法的地位から「市民」という法的地位を逆照射することによって、「市民」概念を再検討することを第一の課題とした。さらに、南北戦争を経た19世紀後半以降、国民統合の機運が高まるなかで海外領土の獲得が進み、国内においては建国以来の「インディアン」(厳密にいえば「市民ではないインディアン」(noncitizen Indian))という法的地位を再定義する動きが高まる一方で、新たに合衆国領となった地域では「市民ではない国民」(noncitizen national、以下「国民」とする)(あるいは「市民籍のない国籍(non-citizen nationality)保持者」)という法的地位が創出された。こうした状況を踏まえて本研究では、第二の課題として、「市民」と「国民」の差異化の過程を検証した。
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