研究概要 |
平成19年度は本研究プロジェクトの初年度にあたり、史料の収集を中心として以下の作業を行った。1,リーウィウスが『ローマ建国以来の歴史』の第5巻と第6巻で描く前5世紀末から前4世紀初頭にかけての歴史で中心的な役割を演じているマールクス・フールリウス・カミッルスと彼の事績に関して、エトルーリア人都市ウェイイーとの戦争及びガッリア人戦争を中心に、リーウィウスとプルータルコスの『カミッルス伝』を始めとする平行史料との間で、素材の選択の仕方、記述の内容、カミッルスの人物像等を比較・検討することにより、リーウィウスが歴史を執筆したアウグストゥスの時代と、彼の史料の書かれた共和政末期においてカミッルス伝説がどのように捉えられていたかを考察するための素材を集めた。 2,平成20年2月20日から3月2日まで史料収集と考古学資料の調査を目的としてドイツ及びイタリアを訪れた。ドイツでは、バイエルン国立図書館及びミュンヘン大学歴史学系図書館で日本では入手が難しいアーケイック期ローマ及びローマ史学史に関する論文・研究文献・特別展示のカタログ等の閲覧と複写を行った。またイタリアではローマを中心に、タルクイニア等近郊の古代都市にも足を伸ばして、考古学資料の実見及び実地での検証を行った。 3,本研究と密接に関係する『ローマ建国以来の歴史』第2ペンターデ(第6〜10巻)の翻訳は、前半部分(第8巻第24章まで)を平成20年1月に訳了し、3月末に初校を終えた。リーウィウス著『ローマ建国以来の歴史』第3巻として6月中旬に出版の予定。
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