通常、イタリアの都市貴族は、都市内においては、中世中期には塔を一つのシンボルとして、中世後期には中核となる館(Palazzo)を有して、一定地区を基盤としていたとされる。従来都市貴族は否定的に捉えられてきたが、都市の政治をリードした支配者層の中には、都市貴族層が常に含まれており、都市支配の拡大にともなって自らの勢力範囲を拡大し、都市域整備、都市のシンボル構築、都市のイメージ作りに関与していくと考えられる。 本研究は、その実態を明らかにするために、以下の4つの柱をたてた。 (1)ローマを中心とする中部イタリアの諸都市の比較対照研究。 (2)北イタリアの諸都市の比較対照研究。 (3)『健康全書』写本特徴の研究。豪華写本をやりとりする支配者層の婚姻関係、建築・美術専門家グループによるネットワークなどに着目。 (4)南イタリアの諸都市の比較対照研究。中部イタリア、北部イタリアと対照する。
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